最近リリースされた「Embers Adrift」から、MMORPGジャンルの初期からヒントを得た「Pantheon: Rise of the Fallen」に至るまで、「昔ながらのMMOの雰囲気を取り戻す!」と公言するMMORPGが多く出てきています。これらのMMORPGはこれからプレイする人にとって魅力的なコンセプトと言えるでしょう。
筆者が話したことのある多くのプレイヤーは、「MMORPGのジャンルは道を踏み外した」と感じています。積極的なマネタイズから、探索も頭脳労働もせずにクエストマーカーから次のクエストへ猛ダッシュするようなテーマパークデザインまで、MMOは初代「Ultima Online(UO)」や「EverQuest(EQ)」の時代とは大きく異なるものになっているのです。これらのMMOはある意味、タイムカプセルのようなもので、MMO業界において今は過ぎ去った時代でありながら、多くの開発者やこのジャンルのファンがその再現を望んでいるように感じられます。
▲新発売の「Embers Adrift」。PvE+グループ中心のプレイで「昔ながらの」MMORPGを目指す。
特に、筆者がMMORPGを始めたのは2007年にリリースされた「The Lord of the Rings Online(LoTR)」からなので、「古いやり方」に大きな思い入れがあるわけではないのですが(「RuneScape」は初期にかなりプレイしましたが、ほとんどは友人と一緒でした)、なぜなのでしょう? 2022年の時点で、一部のプレイヤーにとって魅力的に感じられる「昔ながらの」ゲームデザインとは何なのでしょうか?
それは、これらの古いタイトルがより複雑で、最大限にプレイするためには、より多くの思考、探索、社会性が必要だったからだと思います。オリジナルの「EverQuest」では、すべてをソロでプレイすることはできませんでしたし、「EVE Online」や「World of Warcraft」のような「昔ながら」の時代の端境期にあるタイトルでさえ、グループでプレイするのが一番です。現在では、MMOの「大規模」「マルチプレイ」という部分があまり重要視されなくなったため、開発者は作成するコンテンツがソロで遊べることを保証しなければならなくなりました。
いわばプレイヤーが原点回帰を切望するのは、正直なところ、そのような側面があるからです。ウルティマのような時代遅れのメカニックはいらないが、グループを強制的に作り、他のプレイヤーとの交流を、それが有機的であろうとクエストの性質であろうと強制するようなデザインをプレイヤーも(開発者も)望んでいるのです。筆者が「Embers Adrift」を強くオススメしたのは、このことが大きな理由のひとつです。つづく