「KickstartedなMMORPGはオワタ」。筆者はそう言い切れます。正直いって、クラウドファンディングはもう小規模な開発スタジオにとって有効な選択肢ではないという厳しい現実を、そろそろ人々が受け入れてもいいのではないでしょうか。確かに、過去にクラウドファンディングで成功した例があることは確かですが、夢物語のような膨大な数のMMORPGに比べてその数は少なく、失敗例は壮絶なものになっています。
MMORPGにとって、時間の流れは加速度的に進んでいるように感じられます。新しい派手な流行は短く、インパクトは弱く、それはゲームの資金調達の方法にも当てはまります。実際にプレイする価値のある永続的なオンラインゲームを作るには何百万ドルもかかるため、開発資金はMMORPGにとって常に最も重要です。長年にわたり、小規模な開発スタジオは、MMOの夢を実現するために、Kickstarterキャンペーンを通じてクラウドファンディングを活用しようとしてきました。しかし、Kickstarterが始まってから10年余り、クラウドファンディングで製作されたMMOが失敗続きだったことから、ゲーマーはKickstarterのMMOを支援することは、スロットマシンと同じくらいリスクのあるお金の使い方であると学ぶことになりました。
近年、最も高い資金を集めたKickstarterのMMORPGをいくつか見てみたいと思います。例えば「Crowfall」は、支援者から170万ドル以上を集め、2015年3月にKickstarterキャンペーンを開始しました。最終的には長い早期アクセス段階を経て、2021年7月にようやく発売されたものの、支援者の期待にはまったく応えられなかったと言ってよいと思います。バグだらけで、ゲームプレイは精彩を欠き、一部のコアなファンにとっても魅力的な作品にはなりませんでした。「Crowfall」は最終的にMonumentalに売却され、Monumentalはゲームの修復を目指しましたが、残念ながら、その結末はすでにご存知の通りです。Monumentalはこのゲームを完全にオフラインにし、当面の間、「社内開発」に撤退したのです。
しかし、「Crowfall」はほんの一例に過ぎません。「Shroud of the Avatar」、「Pathfinder Online」、「City of Titans」など、Kickstarterで多額の資金を集めた他のMMORPGも、期待に応えることができませんでした。さらに、「 Chronicles of Elyria」、「Greed Monger」、「Dreamworld」など、まったく進捗が見えない、疑わしい、あるいは最初から詐欺のようなゲームも数え切れないほどあります。どの開発者もクラウドファンディングの世界で成功するのは難しいのが現状です。 Kickstarterでプロジェクトが成功したとみなされるためには、信じられないほど低い資金調達目標が必要です。例えば、「Dreamworld」では、開発者はわずか10,000ドルの資金調達目標を設定しましたが、6,400ドルしか集められませんでした。この例では「開発者」にとっては「勝利」かもしれませんが、この「開発者」たちがKickstarterの約束を果たしてくれるとは誰も予想していません。