これから言うことは、筆者が過去にとらわれた古いタイプのMMOユーザーの1人に聞こえるかもしれませんが、言わなければならないことなので、ここに書いておきます。現代のMMORPGは、昔ながらのMMOと同じようには感じられません。おっと、批判する前に聞いてください。昔のMMOが現代のMMOより優れていると言っているのではありません。タブを使った戦闘がアクション系の戦闘より優れているとか、タンク、DPS、ヒーラーの三位一体が自己完結型のキャラクターより優れたパーティを構成しているとか、そういうことを言っているわけではありません。

そのような違いは、MMOというジャンルそのものと同じくらい古くから存在するものです。ここで筆者が話したいのは全体像についてです。このジャンルの核となる部分に変化が起きていて、最新のタイトルは古いMMOとはまったく異なる印象を与えている、と言いたいのです。MMOの設計と消費の仕方に根本的な変化が起きています。何年も1つのMMOと付き合ってきた熱心なプレイヤーが、数週間で次のMMOに乗り換えるような一過性の集団に変わってしまったのです。

現代のMMOは簡単すぎる!(実際はそうでもないけど)

死体回収マラソンを覚えていますか? 筆者は覚えています。都市から都市へテレポートする手段がないので、目的地まで複数のゾーンを走らなければならないのはどうでしょう? UIにマップなんて存在しない…なんて前代未聞の時代もありましたね。つまり、昔のMMOは、今のMMOに搭載されているイージーモードよりも、よほどハードコアだったということでしょうか? 否! そうじゃないのです。

最近のMMOが昔のMMOより簡単だと言うのは、少し誤解があります。正直に言うと、昔のMMOは実は難しくありませんでした。死体回収もハードコアではありません。自分が死んだ場所まで走って戻り、荷物をまとめて、mobに再び殺される前にそこから急いで逃げ出すだけ…、です。MMOによっては荷物を拾い上げるまで死んだままなので、もっと簡単でした。

そうした古風な仕組みがなくなったからといって、MMOが簡単になったわけではなく、より便利に遊べるようになっただけなのです。MMOの難易度とは、最初に注意していれば死を避けられたにもかかわらず、すぐにまた死んでしまうという恐怖を利用した幻想に過ぎません。死体回収でプレイヤーが賢くなるわけでもなく、上手いプレイヤーになるわけでもありません。最初の死からすでに学んでいたはずなのに。

結局のところ、死体回収は、自分の不注意な行動に対してペナルティを与える、単なる時間稼ぎでしかなかったのです。今は、死んでも装備はそのままに復活し、すぐに冒険を再開することができます。死後は、自分の体を回収するという平凡な作業以外、何もしなくていいのです。それは簡単なことではなく、より便利なことなのです。

同じことは、現代のUIの遊び方の向上についても言えます。例えば、地図があっても、興味のある場所を探すのが以前より簡単になったわけではありません。NPCは常にプレイヤーが探しているものを見つけるのに十分な情報を与えてくれました。宝物が埋まっている穴を実際に見つけるのは、少し時間がかかるかもしれませんが、決して難しいことではありません。NPCが「北に向かってオオカミを10匹殺せ」と言ったとしても、そのオオカミを追いかける必要はありません。ただ北へ向かい、行く手にオオカミが見えたら、それを殺すだけです。

では、最近のMMOは本当に簡単なのでしょうか? 答えは「否」です! でも、最近のMMOははるかに便利です。

現代のMMOは個性に欠ける!

昔は、それぞれのMMOが独自の雰囲気を持っていました。「EverQuest」は「Anarchy Online」とは違っていました。「メイプルストーリー」は「World of Warcraft」とは異なるゲームでした。そして、どのゲームにも、その個性に惹かれる熱心なプレイヤー層がいました。

WoWクローン時代には、資本主義がこのジャンルを支配したため、その個性の一部が失われました。開発者とパブリッシャーがWoWキラーを作ろうとしたため、イノベーションが鈍化し、利益を上げるどころか、MMOというジャンルでリスクを取ることから開発者を遠ざけることになったのです。

ここ数年、新しいMMOがやや復活しつつありますが、業界全体が独自のゲームエンジンからUnityやUnreal Engineなどのサードパーティ製ツールに移行したため、個性の欠如は悪化の一途をたどっています。グラフィック、アニメーション、BGMは、各開発会社が独自のアセットを追加するため、まったく同じにはならないかもしれませんが、MMOごとに類似したものがあることに気づかずにはいられないほど「また、これか」と思わざるを得ない製品が多くあります。

見た目と仕様(設計)の両方がゲーム間でコピーされているため、プレイヤーがあるタイトルと他のタイトルとの間につながりを感じられなくなっているのは、当然のことでしょう。ゲームからゲームへの移行は簡単ですし、コンテンツをサクサクとこなすだけで、新しいゲームに目新しさがないために数時間でやめてしまったりすることになります。

つづく

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