EverQuest IIはMMOという大群の白い羊の中で黒い羊のようなものでした。Asheron’s Call、Ultima Onlineと並んでMMOの革命期の最前線にあったEverQuestほど称賛されることもなく、2004年11月(たったの2週間後)にリリースされたWorld of Warcraftほど人気を獲得することもありませんでした。
このゲームは90年代後半に出てきたMMO ―― いわゆるMMOの第1世代が作り上げた「ハードな冒険」と「だらだらと続く経験値稼ぎ」という勝利の方程式を継承する次世代のゲームになるはずでした。チームとして戦い、敵の倒し方がわかれば、真っ当なアイテムが手に入る。EverQuest IIはさまざまなやり方でそれを実現しました。問題は、WoWが次世代のゲーマーを魅了するようにこれまでのMMOのルールブックを作り変えてしまい、2週間先に発売されたばかりのゲームをまるで下位リーグのゲームのように感じさせてしまったことでした。
(中略)
長い年月が経ったMMOの特典の1つは、専属のコミュニティが形成され、開発チームと直接的なコミュニケーションを楽しめることです。この仮想的なホーム感はプレイヤー人口の多いMMOに共通するものであり、みんながそれを維持するために一緒に結束していく必要があります。しかし、EQ2はそうではありませんでした。
「SOEの頃には双方向のコミュニケーションがあって、ときには熱く語り合ったこともありましたね。」と語るのは、Daybreakに幻滅した匿名希望のBobさんです。今や「"プレイヤーは黙ってろ"と開発チームから言われる始末です。」だそうです。EQ2のコミュニティは疲れ切っているようです。Djakさんによれば、「Discordでは、開発チームを批判した人はほぼ出入り禁止にされてしまいます。」と語ってくれました。「EQ2では有名なファンサイト(EQ2Wire)を運営していたFeldonさんでさえ、出入り禁止にされたのは驚きましたね」。その後、Feldonさんは最終的にファンサイトを終了する決断をしています。
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「私は、アイテムの「調べる」ウィンドウがすごく見づらいので改良してくれと言い続けたのですが、どうやらそれが開発チームの逆鱗に触れてしまったようでバンされてしまいました。一時的なアカウント停止ではなく、IPでブロックされました。」とFeldonさんは語っています。「最後にチェックしたときは、公式フォーラムも出入り禁止にされていました。どれか1つでも解除されていたら、Discordを始めることはなかったと思います。」
筆者はこれらの証言をもとにEverQuest IIプロデューサーHolly Longdaleさんに「開発チームを批判すると出入り禁止にされるという噂があるが本当か?」とメールしましたが、Daybreakはそうした問題に対処しないとのことでした。「コミュニケーションに関してですが、開発チームはゲームを改善するためにもっとも建設的な意見を聞ける場所を選んでいます。開発チームとプレイヤーのために双方向で支援的な環境を育成しようと努力していますが、EQ2は依然として肯定的なコミュニティだと思っています。」
(中略)
EverQuest IIは、成功か失敗かの二択で捉えるのは難しいゲームです。言ってみれば、悲劇的なヒーローのようなものです。しかし、Trunkさんのコメントは斜陽になっている今のMMO業界の問題を浮かび上がらせています。それは「ビジネスと家庭をどうやって両立させていくか?」という問題なのです。